世界経済の新しいルールを「マネー」の観点から解きほぐす、良質な啓蒙書です。アメリカ・中国の危うさや、新興諸国群「VITAMIN」についての記述も興味深いものばかり。偏向傾向にあるマスコミフィルターに目をくらまされないためにも、是非目を通しておきたい一冊です。
日ごろ国際経済に大きな関心を持たない不勉強な身にとっては、かなりショッキングな内容を含む本でした。もとは雑誌連載記事のため、若干焦点がぼやけているところもありますが、その分多彩な話題に触れられているため、素人にとってはむしろお買い得な内容となっています。
中国経済の危うさは凄まじいですね。日本にいると尖閣とか反日運動しか目に付きませんが、その裏側で中国国内に起きている政治・経済事情が明快に解説されています。日本のバブル崩壊どころではない混乱が、遠くない将来に現実となりそうです。
金利を上げると資金量が増えるというのも、一昔前の経済学しか知らない私には目からうろこが落ちるようでした。国境を越えた「ホームレス・マネー」がどっと流入してくるためです。私の学生時代から機関投資家の持つ影響力については危惧されていましたが、リーマンショックを経てその流れがはるかに加速しているようです。
「VITAMIN」とはヴェトナム、インドネシア、タイ・トルコ、アルゼンチン・南アフリカ、メキシコ、イラン・イラク、ナイジェリアのことだそうです。勢いを増す新興国の様子は、斜陽の影差すわが国から見ると眩しいばかりですが、これらのなかには親日の国も多いため、中国に対するより有益な関係も築きやすいかもしれません。
日本におけるリーマンショックの被害が比較的軽微で済んだのは、魅力に乏しく資金の流入がたいしたことなかったためだとか。何とも皮肉なことではありますが、どのようにうまく衰退していくかが今後の日本の課題となるかもしれません。
ここで人類が衰退した後の世界を描く一冊をご紹介。
この本のような牧歌的な生活が待っているのなら、それはそれで悪くないかという気もします・・・なんちゃって(^^;
評価:★★★★☆
2010年12月29日水曜日
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