2011年3月23日水曜日

青い星まで飛んでいけ(小川一水) このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク

全6篇からなるSF短編集です。各話の雰囲気が結構違っていて、個人的にちょっと好みが分かれましたが、なぜかどの作品も筆者らしいと思わせるのが不思議というか流石なところです。



裏書に
未知なるものとの出逢いを綴った
とありますが、普通SFってそうじゃないのかなという気もします。以下、各話の感想です。

■ 都市彗星のサエ
平和だが閉鎖的な都市彗星バラマンディからの脱出を試みる、ボーイミーツガールな青春SFです。二人が得意分野を駆使して脱出ポットを作っていくのがとても楽しい。本書で一番好きな話でした。

■ グラスハートが割れないように
願いをこめながら胸で暖め続けると、甘い食物が培養されるという「グラスハート」に潜む罠。雰囲気は現代ものっぽく、テーマも家族とか宗教とか重めな感じ。ちょっと苦手な話かもでした。

■ 静寂に満ちていく潮
異種生命のセックスを題材としたお話し。アシモフの「神々自身」と似た感じのテーマですが、あちらよりはエロイと思います。

■ 占職術師の希望
その人に最適な職業をみつけるという微妙な超能力の持ち主が主人公です。直接に役立つ力を持たない彼が危機に立ち向かう方法とは。主人公とヒロインの掛け合いが楽しかったです。

■ 守るべき肌
計算機上の世界に移行して1000年のときを生きる世界に現われた異分子「ツルギ」。彼女が演出するゲームの意図とは?有名な海外SFの某作品を彷彿とさせますが、ネタバレになるので作品名を言えないのがもどかしい。

■ 青い星まで飛んでいけ
本書で一番とんがった設定ですが、一番の傑作だと思います。最初の数ページ読んだときには理解するのをあきらめかけましたが、これをわずか40ページでちゃんと筋の通った物語に仕上げているのが素晴らしいです。

個人的には1、4、6話が好きな作品でしたが、他の作品も総じてハイクオリティです。さすが短編の名手といったところでしょうか。

評価:★★★☆☆

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