非超常の技で怪異に挑むダークヒーローのお話です。設定自体は少し陰惨なところもありますが、語り口が軽妙なのでそれほど構える必要はありません。何より解決編がお見事。でも一番の見所は、主人公が16歳の巫女を淫らな手口で篭絡するところだと思います。
主人公「九条湊(くじょうみなと)」が20代半ばという設定ではあるのですが、巫女あり、ショタありとサービス精神は旺盛なので、電撃文庫から出ていてもさほど違和感は無かったように思います。
怪異を封じるために生贄となることを受け入れる頑な少女「山上沙耶(やまがみさや)」。彼女の覚悟をミナトが翻意させてしまうところは、ここだけで本書を読む価値があったといってよいくらい秀逸です。散々ひどい扱いを受けながら信頼を深めていく沙耶のMっぷりもナイスです。
上の二人に加えて10歳の小生意気な天才法力少年「赤羽(あかばね)ユウキ」。この3人組がメインキャストとして事件を手がけていくことになるようです。沙耶もユウキもわりと類型的なキャラではありますが、それだけにミナトの脱力感を際立たせてくれています。
2話構成となっていますが、私としては特に1話目がお勧めです。こんな退治のされ方をした妖怪がかつていたでしょうか?ミステリっぽい話が好きなかたには特に喜んでいただけるのではないかと思います。
個人的に若干の不満をあげるとすれば、ミナトにツンデレが入っている点でしょうか。私としてはもっとダークヒーロー路線を突き進んで欲しかった気もしますが、逆にこの弱みというかギャップが萌えポイントになっている気もするので、好みによって分かれるところかもしれません。
ラストで次巻への引きらしきものもあったので、これからシリーズ化していくのでしょうか。続巻には期待したいですが、せっかくいいキャラをそろえているので、できれば挿絵をもっと増やしてくれると嬉しい気がします。
評価:★★★☆☆
2011年3月20日日曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿